認知症介護の味方~介護ミトンの種類と選び方~

・何度言い聞かせてもご自分でおむつを外して汚してしまう。
・点滴や導尿の管を抜いてしまう。
・自分の顔や体を引っ掻いて傷を作ってしまう。
介護されている方の認知症が進み、このような症状でお困りではありませんか?

おむつ外しや自傷行為を予防し安全にお過ごしいただくために、介護ミトンを使用するという方法があります。介護ミトンを試してみたいけど、どれを選べば良いのか分からない。安全な使い方が分からなくて不安。という方へ、本記事では以下についてご紹介いたします。

認知症介護に役立つ介護ミトン

介護ミトンを使用する場面とは

介護ミトンを使用する場面とは、主に4つあります。
・おむつを外す、中に手を入れて便を触る行為を繰り返される時
・点滴や導尿、経管栄養等の医療器具を外してしまい命に関わる危険がある時
・顔や体を引っ掻いて自分を傷つけてしまう自傷行為がある時
・他人に手が出てしまい他者を傷つける恐れがある時
このような行動は、認知症が進行し、脳の機能や判断力が低下してしまうことで起こります。1日中誰かが付き添って見守りができれば防げるかもしれませんが、実際に24時間見守り続けることは不可能です。また、問題行動が続くことは、介護している側であるご家族の身体的・精神的に大きな負担となります。ミトンを使用することで、認知症による問題行動を予防し、ご家族の介護負担を軽減できます。

介護ミトンの種類と選び方

さまざまな種類がありますので、ミトンをつける方の病状や予防したい行為に合ったものを選びましょう。

オーソドックスタイプ

オーソドックスな介護ミトンは、指先は分かれておらず手の平全体がすっぽりと覆われているので、おむつ外しや医療器具の抜去、自傷行為などの手の動きを予防できます。ミトン内部では自由に指を動かすことができます。手首の部分で固定できるマジックテープやベルトがついているため、ご自身では外しにくい作りになっています。初めての方や、どなたでもご利用しやすいミトンです。

クッションタイプ

ご自分で顔や体を傷つけてしまう方や他者に怪我をさせてしまう恐れのある方には、クッションタイプがおすすめです。中に保護パッドやビーズクッションが入っており、手や体に受ける衝撃を和らげます。また、物をつかみにくい構造になっているので、医療器具の抜去をされる方も利用されています。こちらは手の平全体を覆う形と5本指に分かれている形があります。

2ポケット、5本指タイプ

手のこわばりや拘縮を防ぎたい方には、2ポケットタイプや5本指タイプがおすすめです。こちらもおむつ外しや医療器具の抜去、自傷行為の手の動きを予防できます。
 2ポケットタイプは、親指とその他の指で入れる部分が分かれています。自然な形で手が収まり、手の間にクッションや握り棒などを入れて握っていただけるため、拘縮予防ができます。また、クッションの代わりに乾燥したお茶パックを握っていただくことで、手のひらの湿気の吸収や消臭効果も期待できます。簡単に装着でき、必要な時にすぐにお使いいただけます。
 5本指タイプは、ミトン内部に5本指を入れる別々の仕切りがついています。指と指の間を開くことで、手のこわばりを予防でき、手の蒸れもなく快適に過ごしていただけます。一本一本指を入れていくため、装着に多少時間がかかります。

介護ミトンの使い方

安全な使い方

①まず、介護ミトンの左右・表裏と手の向きを確認しミトンの中に手を入れます。指が分かれているタイプのものは、それぞれの仕切りにきちんと指が入っているかを確認します。
②次に、手首のマジックテープまたはベルトを結んで、手から抜け落ちないように固定します。この時、強く結びすぎると手の血流が滞ってしまう危険があるため注意して下さい。
③ご本人が簡単に外せないようベルトの上からさらに固定するボタンがついているものもあります。最後にそのボタンをしっかりと留めます。

気を付けること

介護ミトンは、おむつ外しや医療器具の抜去、自傷行為などの危険から守るために使用するものです。介護を受ける方の自由を押さえつけるために使用するものではありません。問題行動の起こる頻度や時間帯などを見極め、使用は最小限にしましょう。介護者の目の届く時間帯はできるだけミトンを外して手を動かせる時間を作ることが大切です。
ミトン内部は蒸れやすく汗をかきやすいです。また、肌に直接触れるため汚れやすくなります。こまめに洗濯して清潔なミトンを装着するようにしましょう。高齢者の肌は弱く皮膚トラブルを起こしやすいため、毎日手や指の状態を確認し、清潔を保ちましょう。メッシュ素材のものは通気性が良くておすすめですが、手の動きが激しい方や皮膚の弱い方は擦り傷などの原因になるので、注意が必要です。
ミトンを使用して安全を確保すると同時に、おむつ外しや医療器具の抜去、自傷行為の原因についても考慮してみましょう。おむつ外しをするのは、臀部にかゆみがあったり、排せつ後の不快感から触ってしまうことが考えられます。医療器具の抜去は、器具の挿入部に痛みや違和感を感じて起こる可能性があります。自傷行為は、体の痛みやかゆみが強くてつい手が出てしまうのかもしれません。痛みやかゆみ、違和感が和らぐことで、問題行動が軽減する可能性もあります。もし原因が思い当たる場合は、医療機関などに相談することもおすすめします。


まとめ

・介護ミトンは、おむつを外す行為が繰り返される時、点滴など医療器具を外して命に関わる危険がある時、自傷行為がある時、暴力など他者を傷つける恐れがある時に使用される。
・認知症が進行し、脳の機能や判断力が低下して起こる。
・ミトンを使用することで、認知症による問題行動を予防し、家族の介護負担を軽減できる。
・ミトンは3タイプある。初めての方やどなたでも使えるオーソドックスタイプ、自傷行為のある方にはクッションタイプ、手のこわばりを防ぎたい方には2ポケットや5本指タイプがおすすめ。
・ミトンの左右・表裏と、手の向きを確認してミトンを装着すること。それぞれの仕切りにきちんと指が入っているか確認する。
・血流が滞る危険があるため、手首のベルトは強く結びすぎないこと。
・ミトンの使用は必要最小限に。
・毎日手や指の状態を確認し、清潔を保ちましょう。ミトンはこまめに洗濯を。
・ミトンで安全を確保すると同時に、問題行動が起こる原因について考慮することも大切。必要があれば医療機関に相談を。

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